四年ぶりに獅子が舞う!月夜の宴「兼城十五夜村あしび」

四年ぶりに獅子が舞う!月夜の宴「兼城十五夜村あしび」

久米島では唯一兼城地域でしか行っていない獅子舞。

毎年旧暦8月15日に地域の拝所や辻々で獅子舞が廻り踊り、地域の無病息災、五穀豊穣、繁栄を願って奉納舞が行われます。

その翌日は不定期ですが「村あしび」も開催され、月夜をさらに盛り上げます。

コロナ禍で中止が続いていましたが、今年は四年ぶりに開催されました。

今回は兼城十五夜村あしびについてご紹介します。

 

兼城十五夜村あしびって?

2023年9月29日は拝所まわりが行われ、

翌日9月30日に兼城公民館で兼城十五夜村あしびが行われました。

「兼城獅子舞」をはじめ、「白瀬走川節(しらしはいかーぶし)」、「しゅんどう」という三大伝統芸能が披露されます。

さらに、島の小中高生が演舞する現代版組踊ガサシワカチャラのメンバーによるダンスアンサンブル、

民謡ライブなど様々な余興が披露されます。

小さな屋台もあり、地域の人々から観光客の方まで広場にダンボールやシートを広げ、ゆったりと宴を楽しみます。

 

「兼城獅子舞」って?

兼城獅子舞はなんと約200年の歴史がある伝統芸能です。

沖縄本島の獅子舞との演舞といえば、荒々しく激しく舞うイメージですが、

兼城獅子舞はそのイメージとは一変してとても親しみやすいと感じました。

兼城獅子舞では、獅子舞の他にハチャブローという踊り手が加わります。

このハチャブローがかなりユニークな姿をしています。

赤い衣装にぽっこりとしたお腹、そして派手目なメイクの白面。

大きく手を左右に振り、体を上下にくねらせながら踊りを披露します。

獅子舞はそのハチャブローの踊りに誘われるように登場し、時に戯れ合うように共に舞い踊ります。

力強い獅子舞のイメージとはだいぶ違いますよね。

 

兼城十五夜村あしびの舞台の様子

白瀬走川節(しらしはいかーぶし)

花笠に貴花(ヌチバナ)などが印象的な衣装で踊る「白瀬走川節」。

「白瀬川に流れる桜の花をすくい取って

  糸に貫いて花輪にして

  愛しい彼にかけてあげたい」

という乙女の恋心を詠っています。

衣装もさることながら優美な演舞に見入ってしまいます。

 

しゅんどう

醜女と美女の舞の違いや所作の違いも楽しめる「しゅんどう」

古典舞踊の中で唯一仮面をつけた踊りです。

醜女が美女に挑発しているような様子やバチバチな視線を送っているのがとっても滑稽で面白かったです。

実は2組のご夫婦で演じられていました。

奥様は美女役、旦那様は醜女役だったそうです。

醜女役の息のあった演技に会場では笑い声が上がっていました。

 

兼城獅子舞

村あしびの舞台では、先に女性の華麗な舞から始まり、その舞に魅せられたハチャブローたちが姿を表します。

華麗な舞に愉快な舞が加わり舞い踊っていると、ドラの鐘の合図に、今度は獅子がつられて出てきます。

獅子は腰をフリフリと振ったり、口をパカパカと開け閉めしハチャブローを甘噛みしてみたり。

可愛らしい動きを見せます。

そんな可愛い獅子舞の姿が一変するのは最後です。

兼城獅子舞は演目の最後にも登場します。

その際は、舞台からヒョイっと飛び降り、観劇している人の元へ噛みつきにやってきます。

ここが一番の盛り上がりです。

子供達は、怖がったり、面白がったり。

噛まれに行く子もいれば逃げ出す子もいます。

人々の健康祈願と厄払いが叶った一夜となりました。

 

獅子舞演舞の後、ハチャブローを演じた若い青年が司会者の方のインタビューに答えていました。

「兼城獅子舞のハチャブローを演じられるのはとても誇らしいこと、

自信を持って踊ることができた」

と達成感に満ち溢れた表情でした。

側から見れば兼城獅子舞は小さな地域のただのお祭りに見えるかもしれません。

しかし、その地域からすればずっと受け継がれてきた歴史ある芸能です。

それを継承することを誇りに思い、舞い踊り続ける若い世代がいるということは

月の光のように、久米島の未来を明るくしてくれることでしょう。

 

ガサシワカチャラのアンサンブル、民謡ライブショー

島の小中高生が演舞する現代版組踊ガサシワカチャラよりダンスアンサンブルの部分が演舞されました。

久米島の悲劇の主人公ガサシワカチャラの舞台を華やかにする子どもたちの踊りは、

一生懸命で生き生きとした演舞でした。

12月には公演が行われるそうなので、その内容についてもまたご紹介しますね。

民謡ライブショーでは、プロの演奏と舞い、歌に誰もが聞き入っていました。

時にテンポの良い曲になると、子ども達が舞台に上がり思い思いに踊っていました。

小さな子どもたちにもしっかりと島の踊りが息づいていて、島のオジィオアバァも大喜び。

他にも、地元の子供達の民謡ショーなども行われ、月夜の晩に歌と踊りが響き渡っていました。

 

いかがでしたか。

歌と踊りが連綿と続く地域の良さが感じられたではないでしょうか?

ぜひ来年は久米島の兼城獅子舞を観にお越しください。

美しい月と200年続く兼城の誇りある獅子舞がお待ちしていますよ。

 

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